1966

TRY A LITTLE TENDERNESS
/OTIS REDDING
(CONNELLY−WOODS−CAMBELL)

 ピーターガブリエルがスレッジハンマーを出したときにバックに「WAYNE JACKSONをどうしてもバックに入れたかった」と聞いて、プログレとスタックス(ソウルのレーベル)のサックス奏者とのつながりに共通点が感じられずに変に思ったことを覚えている。今は、ガブリエルやジェントル ジャイアントのデレク シュルマンにソウルを感じられるようになってきた。つながっているんである。
 そのWAYNE JACKSONがバックをつとめたのは、オーティスレディングである。ジャンルを越えた名ヴォーカリストである。ソウルの神様といってもいいだろう。THE DOCK OF THE BAYが68年に、彼が飛行機事故で死んだあとに全米ナンバー1になっている。
 さて、このTRY A LITTLE TENDERNESSは、67年に行われたモンタレー ロック フェスティバルに彼が出演したときの最後を飾った曲。このときに衝撃の登場をしたジミヘンとセットになったLPやヴィデオが制作されている。この曲は、コンサートの最後を飾る曲で、ホーンセクションによる静かなオープニングの中に、オーティスが歌い始め、ブッカーT、スティーブ クロッパー、ドナルド ダック ダン、アル ジャクソンといったすばらしいバックが少しずつ演奏を始め、スピードを上げながら、クライマックスにつなげていく。クライマックスのオーティスレディングは、迫力満点で「ガッ、ガッ、ガッ」とシャウトする声は鳥肌もので、体中の血がたぎるようである。モンタレーで黒人だけでなく、多くのファンの心をとらえたオーティスは、その年の12月に飛行機事故で命を失ってしまう。この人がもう少し生きていたら、音楽は変わっていたかもしれない。
(2001年1月21日)

SUNNY AFTERNOON/THE KINKS
/FROM FACE TO FACE(RAY DAVIS)
 キンクスといえば、一般的にはyou really got meなのかもしれないけど、この人たちが本領を発揮するのは、この曲ぐらいから。それまでもハードなギターのリフといった曲というよりも、内省的な感じの曲。lazin' on the sunny afternoonという歌詞からのんびりした歌詞を連想するが、結構生活に苦しんでいる人の歌詞である。何かぜんぜんロックっぽくないのだが、この人たちらしくなんか妙にひねていて、何かちゃんと地に足がついている。
 この曲もアコギと特徴的なベース、それにけだるいレイ デイヴィスのヴォーカルで結構地味な曲なのだが、イギリスではちゃんと1位を取り、当時の人気のほどが伺える。この次からわき出てくる「お昼寝ソングの草分けである」
 キンクスは、60年代から70年代の始めに書けて名作を次々と出していくが、いまいちセールスはあがっていない。この曲ぐらいまでかな、どんどん一位になれたのは。

この後、彼らは、名作を次々と生み出していく、まさにイギリスの宝である。
(2000年12月11日)

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